2020年12月22日火曜日

Galaxy Buds Live レビュー

 Galaxy最新のTWSイヤホン。



外観はNote20 UltraやZ Fold2のカラーに用いられているミスティックブロンズで、統一感がある(もっともスマホはケース運用だが)。ただし外装はプラスチック製で触ると安っぽさが感じられるが、特に不満はない。イヤホン本体は豆状で、Appleのマダツボミやうどんと並んで特徴的な形をしている。外側は光沢がありラグジュアリーなデザインで非常に目立つ。付属品はイヤーフィンとUSBケーブル。なぜかA-C。

多機能ではない

Galaxy Buds Liveの機能は、TWSの中ではそれほど多機能ではない。外音取り込み機能はない(圧迫感を軽減するために周囲の音を取り込むこと機能はある)し防水もIPX2とほぼ無意味に近い程度でしか対応していない。これらはイヤホンが一般的なカナル型ではなくオープン型なのでそれとの兼ね合いでこうせざるを得なかったのかもしれない。対応コーデックはSBC、AAC、Scalable Codec(Samsung独自)に対応しており、AptX(HD/LL)やLDACには非対応だ。事実上GalaxyのためのTWSとなる。Scalable Codecはいわゆるハイレゾ用のコーデックで、96KHz/24bitまでの転送が可能なためUHQアップスケーリングもワイヤレスで使えるのはありがたい。
ペアリングアプリ「Galaxy Wearable(Buds)」の機能性もあまり良くない。特にタッチセンサーの割り当てが長押ししか変更できない。この辺はもう少しカスタマイズできるとよかった。iOS端末とのペアリングは、「Galaxy Buds」を使用することになっているが、このアプリを使用すると接続はできるものの音声が流れない。iOSの設定から手動で接続しないと使えない。
また、Galaxy buds Liveのバッテリー残量はウィジェットかアプリ、Android設定のBluetoothの項目からしか見られないのが不便に感じた。iPad Proに接続したところ、iPad Pro本体のバッテリーアイコンの横にGalaxy buds Liveのバッテリーアイコンも表示されたので、Androidでもこういう表示に対応してほしい。

装着感は軽快だが…

豆状の特徴的な筐体は思いのほか安定して装着できる。側から見るといかにも落ちそうに見えても落ちる心配はまずない。オープン型というのもあってつけていて息苦しさは感じない。しかし、今まで好んで使っていたカナル型で遮音性の高いイヤホンは耳につけると外界から閉ざされる感じがしたが、Galaxy Buds Liveは遮音性が皆無なため耳の異物感に対して妙にスカスカするようにも感じた。この辺は今まで使ってきたイヤホンによって感想が分かれるところだと思う。

肝心の音質は"使える"レベル

結論から言うと、サブイヤホンとして全然使える音質
E2000、IT04と比較中。どちらもAppleのUSBC-3.5mm変換を使用した。

低音の量は多く柔らかくキレはあまりないので全体的にマイルドに聞こえる。ベース域にフォーカスが合いやすい。中音はやや不自然に持ち上がったように聞こえる場合もありながらも総じて聞き取りやすいが、ボーカルがやや遠く表現に甘さがある。高音は低中音に比べ全体的に影が薄く、オープン型というのもあってか音の抜け感だけは良いが気持ちよく刺さるような音ではないので、聴き疲れしにくい。ただシンバルの余韻が変に汚く聞こえるのが気になった。これは音源によるかも知れない。
全体として、音の定位はやや遠く解像感が甘い。じっくり聴くと物足りなさはあるが、音量を盛ると多少改善される。その代わりオープン型なので音漏れはかなりする。このご時世ではそういった場面は少ないかもしれないが、たとえば夜行バスなどではかなり音を下げないと迷惑になる。
普段から使っている有線イヤホンIT04やサブイヤホンE2000/IT03と比較すると、音ひとつひとつの見通しや定位は有線イヤホンの方が上だった。E2000はともかくIT04は価格がGalaxy buds Liveの3倍なのでそれを考えると比べるのがおかしいが、低音の量感だけはGalaxy buds Liveの方が好みだった。また、IT04で聴いているとエモいところはめちゃくちゃエモく聴けるが、特に高域の見通しが良くなるせいで逆に音源の粗さも感じてしまう。Galaxy buds Liveだとエモさのピーク値みたいなものは相対的に低いが、汚い音源でもそれなりに聴けてしまう。いままでサブイヤホンとしてE2000を使っていたが、Galaxy buds Liveに移行することにした。

ANCの効きは控えめ

ANCは低音を中心にがっつり削ってくれるがホワイトノイズのような高域は残ってしまうので、完全な静寂にはならず不自然な耳閉感がある。公式サイトによると低域は97%カットしてくれるらしい。確かに車内で試すとエンジン音の大半は聞こえなくなっていたので、低音の減衰力にかぎってはそこそこ強力だと言える。ただ前述の通り、高域の減衰力は弱いので高くうなる音は聞こえてくる。さらに、近距離の音は消してくれるものの少し距離がある音は低音であっても結構聞こえてくる。イヤホン本体の構造と合わせて、ANCをオンにしたところで遮音性は高くないと言える。しかし、いつも使っているカナル型で遮音性の高い有線イヤホンをつけて夜道を歩いていたら車に轢かれそうになったことがあるので、それほどの遮音性はむしろ危ない。そういった面では屋外で使っても危険ではない程度の音は入ってきたほうが良いのかもしれない。
また、前述の通りいわゆる外音取り込み機能はないが、ANCオフ時に装着時の詰まったような感覚を減らすために周囲の音を取り込む機能はある。この機能をオンにすると若干ノイジーさを感じるが、かなり自然な感じでつけていられる。

遅延、接続安定性は思ったより優秀

一方、音楽以外の用途、ゲームや動画での使い心地だが、動画に関しては問題なし、ゲームの場合は多少のラグを感じることはあるがジャンルによっては問題なく遊べる。これはGalaxy Buds+/Liveにある「ゲームモード」の恩恵が大きい。このモードはGalaxy限定でiPadなどでは使用できないが、iPadに接続した場合などのラグを小さい順に並べるとこんな感じ。
  1. Galaxy Note20 Ultra (Dolbyオフ・ゲームモードオン)  
  2. 〃(ゲーム用Dolbyオン・ゲームモードオン)
  3. 〃(ゲーム用Dolbyオン・ゲームモードオフ)
  4. iPad Pro
  5. Galaxy Note20 Ultra(Dolbyオフ・ゲームモードオフ)
PUBGなどのシューティング系は、銃声や足音に対してとっさに振り向くと遅延を感じる。
音ゲーの場合は自分のタップSEを消せば普通に遊ぶぐらいならできる。
慣れればそこそこの精度は取れるが最上難易度のAll Perfectを狙うのは難しい。
ゲームモードをオンにしても、こういったリアルタイム性や反射性の高いゲームは厳しいが、例えばパズルゲーやRPGなどは問題なく遊べる。接続安定性は今のところ極めて良好だが、このご時世とは関係なく生活圏に人混みがないのでそういったところでの接続安定性は未検証だ。

バッテリー持ちは必要十分

公称ではイヤホン単体で6時間、ケースに15時間分のバッテリーがあるのでバッテリー持ちは必要十分と言える。実際にゲームで2時間ほど使ってみて残量70%だったので、概ね公称値通りだった。1日使うには十分で、ワイヤレス充電にも対応しているのでバッテリーの心配はなさそうだ。ワイヤレスの逆充電機能を持ったスマホなら出先でスマホ本体からの給電も一応可能だが、カバンの中など不安定な場所では充電できないため使うことは多分ないだろう。

結論:TWSとして不満はない

TWSの欠点である音質や遅延、安定性などはいままで信用していなかったが、このGalaxy buds LiveでTWSデビューしてみて、TWSイヤホンに対しての印象が改まった。いままでTWSの欠点である音質や遅延、安定性などをいまいち信用していなかったが、特に遅延に関してはまさか音ゲーができるほどに低遅延になっていたとは驚いた。音質については解像度がもう少し欲しいところではあるが、ながら聞きするには十分な音なのでちょっとした時に気軽に使えるのが便利だと思った。

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