キーボードのほぼ全面をタッチパッドとして使える「Mokibo」の後継機種「Mokibo Folio」が発売されたのでレビューする。
iPad Pro /Air4を購入するともれなくついてくる問題、それは「キーボードとケースをどうするか」問題。持ち運びを優先してSmart Keyboard Folioにするか、でもトラックパッドもほしいからMagic Keyboardも捨てがたいけどバカ高い…。僕はある程度の取り回しを担保しつつ、タッチパッドとキーボードを併せ持ちなおかつ価格が安めな「Mokibo」を購入し日々使用している。細かい所を気にすると100点中100点ではないが、製品コンセプトとしては非常に有用であると感じている。
重さが重要
このiPad
ProとMokiboの運用において、意外と盲点だったのは「重量」だった。Mokibo単体では240g程度と非常に軽いのだが、Mokiboのケースが思ったより重く、正確には測っていないものの200gほどあるようだ。キーボード単体での運用も考えたが、キートップの構造からタッチパッドを保護するためにはケースをつけたほうがいいと判断して使用しているが、iPad
Proに使っているSmart FolioのパチモンESRのFolioタイプケースと合わせるとケースだけで400gを超える。つまり、キーボード本体が軽くても、別途キーボードケースの重量が加わって結局はMagic
Keyboard運用よりも重量が嵩むことになってしまっていた。まあMagic
Keyboard運用はタブレットとしての取り回しの面で差別化ができているので単純比較はできないが、11インチのiPadでトータル1.2kgは少々重いと感じる。
キートップの保護はしたかった | iPadとキーボードどちらにもケースが必要に… |
今回購入したMokibo Folio (Fusion Keyboard/ MKB420-A11) は、そんな悩みを解決するのに最適なキーボードケースだ。キーボードとケースが一体になっているため、余分な重量が増えることもない。前作のMokibod同様、純正のSmart Keyboard Folioにはないタッチパッドを搭載し、それでいて重量は410gとMagic Keyboard比で約200gも軽くなっている。さすがにバッテリー搭載の面からSmart Keyboard Folioより100g増だが、タッチパッド機能の有無でMokibo Folioの方が有用だ。
前モデルからの変化
Mokibo Folioの最大の進化点はケース一体型になったという点だ。背面カバーにSmart Folioのような折り目がつくことで角度を130°または160°の2段階で調整できるため、Smart Keyboard FolioやMagic keyboardに比べApple Pencilとの相性が格段に良い。それ以外にも細かいところで着実にアップデートされている。裏面にあった電源ボタンは廃止されマグネットによる電源操作、使用時間の増加、USB-TypeC充電と使用する上で嬉しいポイントをしっかり抑えている。一方で、キー間の隙間が広くなったためキー境界での指の滑りやタッチパッドの精度が若干低下している。打鍵感は前モデルよりハキハキとして打ち心地は良くなった。
前モデルに比べ、キー間の溝が大きいのでタッチパッド時の指の滑りは悪くなった |
MFi非対応は残念
完全無欠に思えるMokibo Folioだが、前モデルから引き続き大きな欠点を抱えている。それはMagic Keyboard/Magic Trackpadとの操作互換がないことだ。メーカーによれば、MFi認証を通すことで同等の操作性を実現できるらしいが、コストが50ドル上がるのに加え認証に要する期間もかかるため、価格やリリーススケジュールを優先したとのことだ。このことから言えるのは、「Magic Keyboardの操作」を体感したい目的でトラックパッドを購入するなら、現状Magic Keyboard/Magic Trackpad/Folio (Combo) Touch Keyboard Case with Trackpadのいずれかを購入する必要があるということだ。しかし、Mokibo Folioのタッチパッドが全くの無意味かというとそうではなく、通常のマウス操作程度の操作は可能であるという点では有用だが、マウス+Smart Keyboard Folioとの重量差によってはどちらがいいかじっくり吟味した方が良い。コスト増とはいえ50ドル程度なら高く見積もっても3万円以内には収まりそうで、個人的にはMagic Keyboardより安いという点は変わらずに同じ使用感になる方が嬉しかったので、是非ともMfi認証を取得して欲しかった。
3本指ジェスチャー周りの挙動がMagic Keyboard系と異なる。Appスイッチャーから2本指スワイプでアプリを終了させることができない(映像出典)。 |
MFiに関するメーカーのコメント(出典) |
トラブル続きのクラファン
実は、この商品は人生2度目のクラウドファウンディングで且つ人生初の海外クラウドファウンディングだった。2020年10月末当時、リターン品の配送は2020年12月となっていたのでまあそんなもんか、と思い支援したが、その後製造トラブルとコロナなどでずれにずれ込み丸2年もかかってしまった。前モデルでちゃんと製品化していたので届くのは届くだろうとは思っていたが、延期などの連絡や情報の更新がきちんとされていないのは非常に不快だった。
実際の使用感
しばらく使ってみた感想は、一言で言うなら「誤爆が多い」。前モデルはスペースをタッチしながらでないとタッチパッドが使えなかったが、Mokibo Folioではタッチパッドモードとキーボードモードの切り替えは自動になっている。よりシームレスに使えるようになったのは便利な一方、予期せぬ場面でタッチパッドモードになってしまうことが多かった。1番の問題はスペースだ。赤いキーとその両サイドがスペースキーになっているが、中央の赤いキーはタッチパッドモードでは左クリックに割り当てられている。この赤いキーが目立つのでついついスペースを押すときに押しがちなのだが、それが左クリックとして判定されてしまう。赤いキーだけではなく、タッチパッドのシングルタップでも左クリック扱いなので、ちょっとキーを触っただけでカーソルがどこかに吹っ飛んでしまう。アップデートで前モデルと同じように赤いキーをタッチしながらでないとタッチパッドが反応しないようにしてほしい。
赤いキーが目立ちすぎてついつい触ってしまう |
また、キー配列についても使いにくさを感じた。今までJIS配列しか使ってこなかったし、前モデルにもJIS配列があったのでMokibo FolioもJIS配列が欲しかったのだが、希望者が少なかったのか製造期間の問題かJIS配列が無かったのでUS配列になってしまった。US/JISの使いにくさは単に慣れの問題だが、前モデルよりも右端の記号キーが軒並み小さくなっている(通常サイズに比べて2/3程度)のは非常に使いにくい。手が小さめな自分ですら使いにくいので、指が太かったり手が大きい人は尚更使いにくいと思う。
Mokibo
Folioになって背面カバーが付いたわけだが、この磁力が意外と弱いのが気になった。Smart
FolioやSmart keyboard
Folioの感覚で開け閉めすると結構ズレる。ただの推測というか妄想だが、Smart
Keyboard
Folioが背面カバーの折り目をつけずにキーボード側の溝をつけることでほぼ無意味な角度調整することにしたのも磁力的な問題があったのかもしれない。
前モデルから改善された充電回りは、Type-Cに対応してくれたことが便利なのはもちろん、フル充電になると接続が安定しなくなるという不具合も解消されたのでよかった。インジケーターも刷新され、今どのデバイスに接続しているのかも一目でわかるようになったのでデバイスの切り替えもスムーズにできる。
まとめ
購入目的である「重量軽減」と「Apple Pencilの相性」をクリアしたので買ってよかったと思う。
補足
Mokiboのユーザーマニュアルが見にくかった、というか必要なことが書いていなかったので追記。
Fn + Caps Lockでタッチパッドオフにできるが、「タッチパッドオフ[緑緑赤赤]」「タッチパッドオン[緑緑緑緑]」のほか、「キー&タッチパッドオフ[赤赤赤赤]」の3つの切り替えみたい([]内は右上のインジケーターの色)。これ、地味に便利でApple Pencil使うときにキーボードの誤爆もタッチの誤爆も気にせず使える。キーボードショートカットを多用するアプリなら、タッチパッドのみオフにすれば良い。
Fn + BATTERYとか Fn + HELPとかあんまり使わないオシャレコマンドの説明書くぐらいならこっちの説明の方が大事だと思うんだけど…
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